竹田恒泰氏「人間は“天の力”によって日本で生まれた!」『天皇の国史』はオカルト本



文/小内誠一

日本は世界最古の「文化の始まり」なのか

皇室関係の記事ではなく恐縮だが、男系派の巨塔・竹田恒泰氏の著書『天皇の国史』(PHP研究所、2020)があまりにもオカルト本なので、内容をまとめておきたい。神武天皇の実在を信じるなど序の口で、高天原(天空世界)の存在すら信じている「歴史書」なのだ。

今回は「磨製石器こそ文化の基準であり、人類史上初めて日本列島でヒトが人間に成ったのであり、しかもそれは“天の力”のおかげだ」というトンデモ個所を記録しておきたい。

まず、竹田氏は次のように「文化の始まり」を定義する。

「磨製石器の出現」を「文化の始まり」と定義して話を進めていきたい

竹田恒泰『天皇の国史』PHP研究所

竹田氏が、磨製石器の出現を「文化の始まり」と定義する理由は、たんに世界最古の磨製石器が日本から出土しているからに他ならない。「文化の始まり」を例えば「文字の発明」「暦の導入」「稲作の開始」「金属器の使用」「法典による統治」などに定義してしまうと、日本における「文化の始まり」が周辺諸国よりもはるかに遅れてしまう。これらの文化的技術は日本で起こったのではなく、基本的に中国から(場合によって朝鮮を経由して)伝えられた。

すなわち、竹田氏は「文化が始まったのは日本が最古。日本スゴイ」と言いたいがためだけに、「磨製石器の登場を文化の起こりである」と勝手に定義をして話を進めているのだ。

しかも「天の力」が介入

竹田氏曰く、人類史上、文化が始めて生まれたのは日本においてに他ならないのだという。なぜ「日本が始めて」なのか? なんとその理由は「日本の神の国」だからだという。

しかし、約三万八〇〇〇年前の世界最古の磨製石器が日本列島から出土していることは、その時代の周辺地域には磨製石器がないのであるから、文化を持たなかった現生人類が、日本列島に到達してから文化に才覚したことを意味する。人類の歴史上、文化を持たないただの「ヒト」が「人間」に才覚した場所が日本列島だった。日本は神の国である。「ヒト」が「人間」に成るほどの強烈な閃きが天から降りてきたと理解しておきたい。

竹田恒泰『天皇の国史』PHP研究所

磨製石器一つでここまで話を膨らませられるのは、竹田氏一流の「創造力」なのだろう。歴史書ではなく、単なる宗教書であり、オカルト本であることは誰に目にも明らかなのではないか?

SNS上では「『天皇の国史』を買った(果たして読んでいるのかは不明)」という方々による「絶賛の声」があふれている。Amazon書評のトップには「教科書や、高校・大学の入学試験に採用しても良い書籍」とあり、本書がオカルト本であると気が付かない人は驚くほど多い。

ところで竹田氏は中学歴史教科書をつくるも、門前払いされてしまったそうだ。教科書検定には、まだまだまマトモな客観性が残されているようだ。


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