天皇ご一家に“中国資本”のホテルで「税金の乱用」か 保守派「秋篠宮さまこそ天皇に相応しい」


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水間政憲氏「天皇陛下が中国資本の…」

立皇嗣の礼を明日に控えた11月7日、インターネット上に衝撃の動画が挙がっている。

近現代史研究家の水間政憲氏がやっている「水間条項TV 国益最前線」というYouTube動画である。

水間氏は動画の中で、「公より私を優先する皇太子殿下(現陛下)は天皇に相応しくない。秋篠宮殿下が相応しい」と主張し、その根拠の一つをこう述べるのである。

2007年(平成19年)以降、皇太子ご一家が「スキーバカンス」にご利用されている「ホテルグランフェニックス奥志賀」は中国資本のホテルです

天皇になっても中国企業のホテルに行くんですかね?

と。

YouTubeでこのような動画が出ているものだから、「天皇陛下は中国資本のホテルで税金を浪費している」という噂がインターネット上で絶えない。

噂に尾ひれがついて、「天皇皇后両陛下が中国資本のホテルをわざわざ選んで税金で豪遊している」という話にまで発展することもある。

皇室にまつわる様々なデマや噂を検証してきた筆者だが、今回は、この天皇陛下と雅子さまはわざわざ中国資本のホテルを選んで税金を浪費しているという話題を考察していきたい。

「グランフェニックス奥志賀」とは?

まず、グランフェニックス奥志賀とはどんな企業か。

グランフェニックス奥志賀はKAPPAやスキーウェアのphenixなどを手掛けるスポーツブランドの(株)フェニックスが1994年に開業したリゾートホテルである。

グランフェニックス奥志賀の親会社である(株)フェニックスは1953年に創業した日本企業で、バブル以降のスキーブームと相まって、94年にスキーリゾートホテル・グランフェニックス奥志賀を建設するまでに至ったが、2000年代になってスキーウェアなどの主力商品の低迷により業績が悪化。

2004年にオリックスが完全子会社化し、産業再生機構の支援を受けるものの、経営立て直しは不可能で、2008年になんとたった「1円」でオリックスから中国資本「中国動向有限公司」に売られて今に至っている。

((株)フェニックスの会社概要)

 

つまり、(株)フェニックスは2008年から中国企業であることは間違いない。

両陛下は中国資本のホテルに通っているのか?

しかし、「では両陛下は中国企業のホテルに毎年通っているのは本当ではないか…?」というと、そうではない。

実は、2004年、(株)フェニックスが中国資本に売られる4年も前に、グランフェニックス奥志賀は(株)フェニックスから独立しているのである。

2004年に(株)フェニックスを子会社化したオリックスは、グランフェニックス奥志賀をフェニックスの元社長である田島和彦氏が設立した(株)ズイカインターナショナルという会社に売ったのだ。

((株)ズイカインターナショナル会社概要)

 

つまり、田島和彦氏の経営となって3年後の2007年から現両陛下がグランフェニックス奥志賀に通い始めたということだ。

そして、グランフェニックス奥志賀を手放した(株)フェニックスが中国資本に売られたのが2008年で、今に至っている…

という流れだ。

図にするとこうなる。

グランフェニックス奥志賀を巡る関係史

 

これを見れば、冒頭にあげた水間政憲氏の主張は事実に即していないデマゴギーであることが、一目瞭然だ。

なお、倒産しかけの(株)フェニックスから田島和彦氏がグランフェニックス奥志賀を買い戻す経緯は、同ホテルのホームページを見れば事細かく載っているので、参考にしてほしい。

 フェニックスから完全に手を引いた後、まず始めたのはホテルグランフェニックス奥志賀を買い戻すための資金調達だった。

 グランフェニックスは、私たち家族に深い縁のある志賀高原に建てたもので、私にとっては思い入れがあるホテルだ。そもそもはスキー用品を扱う企業としてのCIの意味で建てたホテルだったが、その後も理想的なリゾートホテルをつくろうと心血を注いだ場所であり、なんとしても買い戻したいと動き始めたのだ…

ホテルグランフェニックス奥志賀ができるまで《田島和彦自伝》

田島和彦氏という一起業家が一流リゾートホテルに情熱を注いで作り上げる男一代記が載っている。

倒産しかけた会社から、旬の過ぎたスキーリゾートホテルを買い戻し、天皇陛下が泊まるホテルにまで成長させた、結果として中国企業から日本の一流高原リゾートを救った田島氏の努力と情熱には感服するほかないだろう。

「天皇陛下が中国資本のホテル…」を論破

さて、今回の記事にて、

「『天皇皇后両陛下が中国資本のホテルをわざわざ選んで税金で豪遊している』というのはまったく事実無根の恥ずかしいデマ」

ということが分かったと思う。

今後、読者諸賢にあっては、上記のデマに接した際、本記事のリンクを紹介して、両陛下への心ない中傷の是正に努めてもらいたい

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