誤報に“悪乗り”する美智子さま「雅子さんバッシングは、事実でなくても良い」の慈悲



文/宮本タケロウ

世界のエンペラー、天皇陛下

平成が終わり2年半以上が経過し、令和がすっかり定着しました。新型コロナの影響があり行幸啓は取りやめとなったものの、ご進講を受けられる天皇皇后両陛下の凛々しいお姿に勇気づけられる人も多いことでしょう。平成時代のご進講は天皇陛下と美智子さまは別々に受けておられましたが、令和は天皇陛下と雅子さまが同席されて受けられるというスタイルになりました。

この「男女対等なスタイル」は国民に広く受け入れられています。中には「愛子天皇への布石」と深読みされる方もいるようです。政府や保守派が「伝統に基づく男系男子による皇統維持」を要求しても、こういった細かい行動の隅々に両陛下が「男女平等の価値観に賛同している」と思わせますね。

新型コロナについてご進講を受けられる両陛下(7月21日午後)宮内庁提供

また共同通信(2020年4月25日)の最新世論調査によれば、陛下に「親しみを感じる」「すてきだと思う」と回答した人は計75%にのぼり、女性天皇・女系天皇を容認する人はそれぞれ85%・79%に上った。誰がどう見ても、現天皇家は国民から極めて高い支持を得ており、愛子さまの即位を容認していると読めます。

そんなご立派な天皇皇后両陛下ですが、ほんの数年前までは、美智子さまと紀子さまが大絶賛されるのに、どうしてか雅子皇后陛下だけが誹謗中傷の対象となっていたことは、本サイトでも度々お伝えしている通りです。

美智子さま「雅子の穀潰し!」の叫び 上皇職「眞子さまを見習っていただきたい」

悠仁さま「罰則付き報道規制」の真実 美智子さま「雅子と愛子が憎い」の裏返しか

「いじめっ子にクスリを混ぜろ」事件

今回は数多くある雅子さまバッシングのなかでも最も仰天すべき一件を紹介しましょう。

2010年6月10日の週刊新潮に掲載された「イジメっ子対策で、「給食に向精神薬を混ぜては」と提案した「東宮」」という記事です。

(仰天すべてき『週刊新潮』)

内容を要約しますと、当時学習院初等科在学中の愛子さまがクラスの男子同級生から「イジメ」を受けていた問題で、皇太子さま(現天皇陛下)側が学習院に「イジメっ子の給食に向精神薬を混ぜたら良いのではないか?」と言って、学習院が仰天したというトンデモ記事です。

記事は、付き添い登校をしていた時の愛子さま周辺情報にやたらと詳しい「ある皇室ジャーナリスト」や「ある学習院の教員」などからの伝聞に基づいて構成されます。

週刊新潮のトンデモ記事

引用しながら、見ていきましょう。

皇室ジャーナリストが解説する。「(前略)愛子さまは、昨年の7月にも、下駄箱の前でAくんとぶつかり、Aくんは愛子さまに対し“何してるんだよ”と悪態をつき、蹴るしぐさをしたそうです。愛子さまは、その忌まわしい記憶を思い出されてしまったんです」それ以降、愛子さまは腹痛と不安感を訴え、登校を戸惑われるようになり、3年生になっても、それは払拭されていないのだ。

(『週刊新潮』2010年6月10日)

週刊新潮の記事はいわゆる「不登校騒動」のレビューで始まりますが、不意に「学習院のある教員」なる人物が誌上に登場します。

「学習院のある教員」のタレコミ

学習院のある教員が憤慨した様子でこう打ち明ける

「昨夏、Aくんの主管(担任)がAくんの父親と面談し、“専門家に診てもらったらどうか”と持ちかけました。ADHD(注意欠陥多動性障害)を疑って、治療を勧めた。私らは、東宮側からの要求だなと感じました」

同上

さらに、この「ある学習院の教員」とやらはこう続けます。

ADHDのクスリを給食に混ぜて、暴れん坊の子どもらに飲ませたらどうかと、東宮側が提案してきたんです(中略)でも、その薬は処方箋が必要ですし、ましてや学校でそんなことはできるはずもない。その提案を知った一部の教職員からは猛反発の声が上がりました

同上

憤慨した様子で打ち明ける…とのことですが、私は保護者との面談内容をペラペラ週刊誌に晒す教員の職務倫理の無さに憤慨します(笑)。

この「ある学習院の教員」が本当に学習院の教員なら、週刊誌に保護者とのやり取りをタレコミしている時点で即刻解雇となると思うのですが、そんなリスクを冒して週刊誌にネタを売るメリットがあるのでしょうか。

学習院と宮内庁に確認したところ

週刊新潮も「ある皇室ジャーナリスト」や「ある教員」からのタレコミだけでは記事にならないと思ったのか、体裁を保つために、学習院と宮内庁に一応確認しました。その結果もこう書かれます

学習院の東園基政常務理事に聞くと、

「最近の愛子さまは、‘’お友達と一緒にいると楽しい‘’と言って、同級生と一緒に行動するようになりました。お友だちも‘’愛ちゃん、こっち‘’などと声をかけています。(中略)妃殿下に安心して任せられるというお気持ちになっていただかなくてはならないので、それに応えられるよう努力しています」

一方、ADHDのクスリを給食に混ぜるよう東宮から提案を受けたことについては、

「そのような事実はありません」

と完全否定し、東宮職も、

「全くの事実誤認です」という回答。

同上

新潮社の反撃

東宮職と学校に確認して「なかった」と返答があったのですから、冒頭の「皇室ジャーナリスト」が(に?)ガセネタをつかまされたことは明白です。ですが、これでも諦めない週刊新潮デスクは、今度はガセネタを持ってきた「ある皇室ジャーナリスト」とは別の「ベテランの皇室ジャーナリスト」とやらにさらに突っ込みに行きます

しかし、ベテランの皇室ジャーナリストがこういう。

「私もその話を耳にしたので、かねてから知り合いの学習院の先生に訊いてみたんです。すると、そういう提案があったのは間違いないと言っていました。初等科の教職員らは最善の努力で問題解決に取り組んでいるのに、東宮に対し、不信感や反発心が芽生えたと興奮していましたよ

同上

学校の先生が 「ベテランの皇室ジャーナリスト」に質問されただけで、 内部事情を週刊誌に晒されると分かっていながら、こんなにペラペラ喋るとは驚きです。お金が動いている可能性もゼロではないですが、いかんせん口が軽すぎです(笑)

もっとも「知り合いの学習院の先生」と言っても、学習院の短大の講師でも、男子校の学習院高等科の先生でも、広い意味で、「学習院の先生」ですからね…

宮内庁の抗議

この週刊新潮による仰天記事に対して、宮内庁はこう抗議しました。

東宮職より学習院初等科に対してこのような発言をしたことは一切なく,またそもそも東宮御一家がこのような発言をされるということはありえません。(中略)皇太子御一家や東宮職に対する悪意ある中傷であると考えます。特に,当該記事の見出しにある『提案』は全く事実無根であり,たいへん悪質です。

宮内庁東宮職においては,「週刊新潮」編集長に対して,上記のとおり,強く抗議するとともに,速やかに訂正記事を掲載することにより,記載のような事実がなかったことを明らかにし,あわせて謝罪を求めております。

宮内庁ホームページ
(しっかりと抗議する宮内庁)

なお宮内庁が抗議する際には「遺憾」という表現程度で抑えるのが通例で、このように明確に「謝罪」まで求めるのはかなり珍しいです。宮内庁は良くも悪くも「何もしない」で有名な官庁です。それがここまで苛烈に抗議するわけですから、事実無根は明白でしょう。

この抗議に対して週刊新潮はこう反論しました。

「記事は確実な根拠に基づいて書かれたもので自信を持っている」

2010年6月4日読売新聞

驚くべき自信に大感動…ですね。

リテラシーの大切さと、事件の背景に美智子さまの気配?

どうせ、「どこの馬の骨かもしれないフリーライターが持ってきたガセに週刊新潮デスクが飛びついた」というだけの話なのに、「確実な根拠」云々とは逆切れもいいところです。

しかしこの一件をさらに深読みする人もいます。元宮内庁職員で、皇室評論家の小内誠一さんはこの事件の背後に美智子さまの存在をしてきます。

「週刊新潮は、週刊文春と比較して保守色が強く、平成時代に最も雅子さまを攻撃し、美智子さまと紀子さまを激賞し続けた雑誌です。この仰天記事はとりわけ美智子さまのお気に入りで、お茶会などでこの記事がたびたび取り上げられたことを覚えています。

美智子さまにとって、雅子さまバッシング報道は事実であるのかが重要なのではなく、こういう噂を酒の肴にして井戸端会議したかっただけなのですよね。誤報に悪乗りする美智子さまの慈愛の深さは、やはり日本海溝よりも深かった。こういった美智子さまの“自愛”があったので、平成時代に雅子さまバッシングが収まらなかったのだと思います」(小内誠一さん)

令和になった途端、雅子さまに明るい笑顔が戻った。これは事実だ。筆者は男系派であり、慈悲に満ちた美智子さまや紀子さまを心から尊敬しているが、多くの国民はそうは思っていない事実も重要だろう。

美智子さま「雅子の穀潰し!」の叫び 上皇職「眞子さまを見習っていただきたい」

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