竹田恒泰氏、ご謀反「今の皇室には正統性がない」と主張 廃帝の後、熊沢天皇を擁立へ



文/小内誠一

親の心、子知らず

保守論客の重鎮・西尾幹二氏が2007年に「皇太子さまへの御忠言」という記事を『WiLL』という雑誌に寄稿し、雅子さまを猛烈に批判した。その時、若き竹田恒泰氏は「休養されることが雅子さまにとっての公務だ」と反論した。この時、私は、旧皇族の御子孫だけあって尊王の気持ちが強いのだと感心したものだ。

もちろん、竹田氏による中韓へのヘイト言動には全く賛同できないし、それは戦後皇室が紡いできた大御心に反していると私は思う。

上皇陛下は、平成13年の誕生日会見で「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると、続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」とご発言された後に「しかし、残念なことに、韓国との交流は、このような交流ばかりではありませんでした。このことを、私どもは忘れてはならないと思いますと続けられた。もちろんこれは日本がかつて韓国を植民地支配していたことを指す。上皇陛下の大御心を踏まえるならば、まさに竹田氏の最近の言動は「親の心、子知らず」でしかないだろう。

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竹田恒泰氏、ご謀反

そんな尊王攘夷(天皇を尊び、外国を撃退する)の精神を今も宿す竹田氏。そんな彼の最新刊『天皇の国史』(PHP研究所、2020)を読んで仰天した。なんと現在の皇室の正統性を必要以上に攻撃しているからだ。これはもう「謀反」といっても良いだろう。

1336年から1392年かけてを「南北朝時代」と呼ぶ。「皇統は万世一系」とよく聞かれるが、実際には北朝と南朝に分裂していた時期もある。さらに事情を複雑にする要因として、皇位の正統性を保証する「三種の神器」は南朝が保有していたものの、勢力的には北朝が優勢であった。やがて南北朝は統一されるのだが、その時に「南朝の系統と北朝の系統で交互に天皇を輩出する」(両統迭立)と約束したにもかかわらず、勢力的に優勢であった北朝はこれを反故にした。怒った南朝派は武力蜂起などを含め反抗するが、すべて失敗。結局、皇統は北朝のみで紡がれていくことになる。

にもかかわらず、明治期に「南朝こそが正統」と認定された。現皇室は北朝の流れであったにもかかわらずだ。これはある意味で矛盾であり、どうしてそうなったのか未だによく解っていない。南朝側が「三種の神器」をもち、さらに北朝側が約束を反故にしたがゆえに、三国志の蜀と同様に「温情」が働いているのだろか。

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皇統にはこのような捻れがある。竹田氏が『天皇の国史』のなかで、どのようにこれを調理するのか楽しみにしていたのだが、予想以上に北朝を攻撃している。例えば次のように。

光厳天皇は後醍醐天皇の皇太子ではあったが、後に京都に復帰した後醍醐天皇は光厳天皇の即位を認めていない。そのため、後醍醐天皇から光厳天皇への上位が有効に成立しているとは見られない。その光厳天皇から位を受け継いだのが光明天皇であり、総じて北朝の天皇は、正統性が疑わしい。

これによって北朝が再建された。三種の神器がない上に、譲国者と見立てられた人物は上皇でないばかりか、皇族でもなく、臣下が天皇を任命するという離れ業をやったのである。

天皇の過信が天皇を任命するというあるまじき矛盾が現実になったのである。このようにして再建された北朝は、ますます正統性が疑わしいものとなった。

自称・旧皇族である竹田氏(正確には「旧皇族の子孫」)が、現在の皇室が北朝の系統であると知らないはずがなかろう。にも拘わずここまで攻撃するとは、もしかしたら竹田氏は「今の皇室には正統性がない!」と本心では考えていて、それが表に出てしまったのかもしれない。

敗戦を迎えた直後、日本の元首だった「天皇」は著しく立場が弱くなった。不敬罪もなくなり、自由な言論が許された。すると「私は南朝の子孫です。南朝こそが正統であると明治政府は認めたのですから、今の天皇を廃位させて私こそが天皇に即位すべき」と主張する輩らが次々と現れた。「熊沢天皇」の名で知られる熊沢寛道がその代表だ。

もしかしたら竹田氏は、こういった南朝の子孫にこそ即位してもらいたいと願っているのかもしれない。もっとも竹田氏は北朝の系統にあるのだが。

熊沢寛道(南朝第118代天皇)

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